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| 2008.5.23 |

| ◆ No.200 『我々はどこから来たか、我々は何者か、我々はどこへ行くか』 |

表題はボストン美術館蔵のポール・ゴーギャンの大作の題名です。「我々は何者か」の部分を「我々は今どこにいるか」に置き換えると、いま我々は、化石燃料の恩恵を最大限に享受し、それが永遠には続かないことを理解し、本気で行動し始めたところにいます。そして化石資源への依存度を徐々に低めようとしています。その中心は太陽エネルギーへの依存度を高めることです。それには石油製品を、将来はバイオマス起源の素材に置き換える変化も含まれます。エネルギーだけであれば原子力や核融合などを使う手もありますが、それらから生活・産業資源を生み出すことは不可能です。 横に長い長方形の左上から右下に対角線を引き、左下にできる三角形を化石資源依存度、右上の三角形を太陽エネルギー依存度とすれば、長方形の左から右に動き始めた時点が「今」で、何百年か先には右端に到達することになります。
この公理のような斜線入り長方形の構造は動かしようがありませんが、当面なんとか資源を長持ちさせ、太陽エネルギーの有効利用を早めて新しいパラダイムに軟着陸する手段を探っているわけです。そしてナノテクが期待を一身に担っています。 われわれ京都ナノテククラスターは去る3月に知的クラスターの第1期を終了しましたが、先のような時代認識に立って、第1期の成果を地球・環境問題の緩和に発展させようと「環境ナノ」を合言葉に第2期の提案をしています。具体的なテーマは、例えば、シリコンの代わりにシリコンカーバイドを使った電力用デバイスや、新しい構造の発光ダイオードを使った効率のいい照明デバイスで省電力を図る、触媒法で廃食用油からバイオディーゼルを地域単位で生産するシステムで資源リサイクルをしながら化石燃料の節約を図る、エンジンやホイールを新規な軽量マグネシウム合金で作って燃費向上に役立てる、稀少金属を使わない高性能磁石材料を開発して枯渇金属資源問題を回避する、危険・汚染・フィードバックのためのセンシング技術の高度化を図るなどです。
「我々は何者か」を「我々は今どこにいるか」に荒っぽく置き換えて論を進めてきましたが、先の「長方形の公理」でも本当に考えなければならないのは、限りない欲求に支配されている「我々は何者か」なのでしょう。
「ナノひとくちメモ」は今回で200号になりましたが、これからもご愛読下さい。(I)
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