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| 2008.5.8 |


神戸大学理学研究科の田村厚夫准教授は、金属イオンを結合する能力を持った土管状のペプチドナノチューブを合成されました。その土管は、十数個のアミノ酸で作った直径約2ナノメートルの環状のペプチドが重箱のように積み重なった構造になっています。面白いのは、その重箱が自己組織化(=ボトムアップ)で積み重なることです。土管の長さは数マイクロメートル(数千ナノメートル)に達します。 ペプチドナノチューブは1993年に、スクリップス研究所(カリフォルニア州、ラホーヤ)のガディリ(M. Reza Ghadiri)教授によってネイチャー誌に発表されました。以来15年も経っているのでペプチドナノチューブ自体は目新しいものではありませんが、今回は、金属イオンと結合(配位)する能力を持つアミノ酸を使った新しい機能の環状ペプチドが設計されたのです。実験例としては銅イオンを選択的に効率よく結合するアミノ酸12個の環状ペプチドがよく研究されており、半導体の超微細配線に使える可能性が示唆されていますが、設計次第でほかの金属イオンに親和性を持つペプチドも合成可能とのことです。
ペプチドナノチューブの素材となる環状ペプチドではL体のアミノ酸とD体のアミノ酸が交互に結合しています。それがナノチューブに自己組織化されるためには、溶液の中で中心が開いた平面状の構造を取ることと、交互に並んだL体とD体のアミノ酸のペプチド結合(-CO-NH-)が向き合い、その間に水素結合ができる構造が必要です。 ガディリ教授が最初に設計した段階では、側鎖(アミノ酸についている枝構造)がすべて外に向いていることが必要と考えられていました。田村准教授の技術は、金属イオンと配位結合するための側鎖をリングの内側に向ける工夫をした点に目新しさがあります。
ペプチドナノチューブはカーボンナノチューブほど関心を集めていませんが、さまざまな構造の中空糸が設計可能で、しかも生体分子を用いて環境負荷の少ない条件下で製造できる利点もあることから、今後、ナノテクの大きなテーマに発展するように思われます。(I)
http://jstshingi.jp/abst/2007/kobe1009/program.html
注:引用したウェブサイトには「金属イオン結合能を持った環状ペプチドナノチューブ」という表題で技術内容が紹介されています。長いチューブの奥深くまでどのように金属イオンが入り込んでいくのかと首をひねっていましたが、実際は金属イオンを配位した状態でペプチドナノチューブが形成されるということのようです。
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