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| 2008.3.27 |

| ◆ No.196 ナノ加工熱電素子でエネルギーを再生 |

あらゆるエネルギーは最後には熱になります。仕事をする能力がなくなったエネルギーは「廃熱」としてエネルギーの墓場に葬られます。現在、全一次供給エネルギー(日本では3/4が石油)の約2/3は、利用されないまま主に廃熱として捨てられています。廃熱をもう一度生きたエネルギーとして取り出すことができれば地球環境問題を緩和することができます。そこで期待されているのが熱エネルギーを直接電気エネルギーに変換する「熱電変換」です。熱電変換に使われる半導体や半金属素材を「熱電材料」と呼びます。
3月20日号のMIT Technology Review誌と3月21日の日経BP社のTech-Onに熱電変換の実用価値をナノテクで飛躍的に高めた例が紹介されました。 熱電材料の一つであるbismuth antimony telluride(ビスマス‐アンチモン‐テルル合金以下BiSbTe)という熱電半導体材料の単結晶をミルで約20ナノメートルの粒径に粉砕し、薄いグラファイト板に高温で圧し固めます。こうして作った延べ棒の一方の端を加熱すると電子が熱い側から冷たい側に移動し、電流が発生します。もしその材料の熱伝導度がよければ熱の勾配がすぐに解消されてしまいます。これまでの材料では、通常、電気伝導度が高いと熱伝導度も高いという関係だったのですが、今回、材料をナノ粒子化することにより熱伝導率を粉砕前の半分から1/3に低下させたのです。つまり熱勾配の解消を起こしにくくしたために熱電効率が40パーセントも改善されたのです。 原理は超難解ですが、固体の中を熱振動(原子の振動)が伝わりにくい構造を取ることで熱伝導率が大幅に低下したようです。
BiSbTeはすでに熱電材料としてピクニック用のクーラーなどのニッチ製品に実用化されています。素材として安価な上に、微粒子化とグラファイトへの圧着はトン単位で実施できるそうです。今回達成したZT指数1.4という熱電効率は50年来の画期的なレベルで、マフラーの廃熱を利用した自動車の空調や無限の太陽の熱を利用した発電など、長年期待されていた電力への応用が現実味をおびてきたとされています。 ナノテクがいよいよ本領を発揮し始めたという感じがします。(I)
http://www.technologyreview.com/Energy/20448/ http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080321/149299/
お知らせ 文部科学省の知的クラスター事業(第T期)として進めてきた「京都ナノテク事業創成クラスター」はこの3月31日で終了します。私たちはナノテクによる地球環境問題への挑戦を目指し、「環境ナノ」を標榜して知的クラスター創成事業(第U期)に提案をしています。 このメルマガは約1600アドレスのKYO-NANO会メンバーにお送りしていますが、この6年弱の間に培ってきたKYO-NANOコミュニティーは事業で生まれた貴重な財産と考え、メルマガ発信はこのまま続ける予定です。今後ともご声援ください。 |

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