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ナノテク便利帳

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2008.2.8

◆ No.192 リットル30円以下の燃料エタノール?!

酵母菌を用いてエタノールを生産する場合、原料の炭水化物の炭素の三分の二はエタノールになりますが、残りの三分の一は炭酸ガスとなって大気中に放出されます。つまり炭素の利用効率は理論上でも66.7%が上限です。
アメリカのエネルギーベンチャーのジーケム(ZeaChem)社はアルコール発酵の代わりにMoorella thermoaceticaという細菌(以下「モーレラ酢酸菌」と略称します)による酢酸発酵を利用し、炭素の利用効率が理論上100%のエタノール生産システムを開発しました。
ちなみにモーレラ酢酸菌は、古い微生物学者にはClostridium thermoaceticumとして知られている菌で、シロアリやウシに共生し、セルロースの消化を助けているそうです。

ジーケム社のシステムでは、まずセルロース系バイオマス原料(注1)を「炭水化物が豊富な分画」(C分画)と「リグニンが豊富な分画」(L分画)とに分けます。
C分画を発酵原料としてモーレラ酢酸菌で酢酸を生成させ、その酢酸を化学的に酢酸エチルに変換して回収、次いで水素添加分解によって酢酸エチルから2分子のエタノールを得ます。最後の水素添加分解ステップはエネルギーを付加する反応ですが、この反応にはL分画からガス化という熱化学的方法で得た水素を使っています。また余ったガスも無駄なく熱源として利用するシステム設計がなされています。

ジーケム社によると、従来のトウモロコシを原料とするエタノール生産には多量の化石燃料が必要で、エネルギー比が1.6(1ユニットの化石燃料で生産できる再生燃料は1.6ユニット)にとどまるのに対し、今回のシステムでは10〜12のエネルギー比が可能とのことです。ジーケム社は年内にも製紙会社が集まるオレゴン州に工場を建設する予定です。
この技術はシステムとして複雑な分だけ工場建設に経費がかかりますが、試算どおりの収量が達成できれば十分ペイすると専門家は見ています。

ジーケム社のCEOはリットル30円(ガロン1ドル)が可能といっていますが、もしそれが実現したら、どこかの国の首相のように「燃料が安いと資源消費が増えるので高い税金をかけよう」といい出す人が現れるかもしれません。(I)

(注1)原料の処理方法については資料が得られませんでしたが、文脈から、木材チップやトウモロコシの茎などを化学的に処理して、含まれるセルロースを発酵可能な単糖類に加水分解したものと思われます。

http://www.nextenergynews.com/news1/next-energy-news1.29c.html
http://www.technologyreview.com/Energy/20151/?nlid=854

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